ソプラノ
「お父さん、お母さん、一ノ瀬孝行っていう指揮者知ってる?」
「一ノ瀬孝行って日本を代表する天才指揮者だろ?」
「名前ぐらいならお母さん知ってるわよ?」
音楽に興味のない両親まで一ノ瀬孝行の名を知っていた。
それだけ有名であるということだ。
「どうしたんだ、急に。」
「いや、学校にさ、一ノ瀬孝行の息子が通ってるんだよね。」
「まあ、そうなの?同級生?」
「うん、同級生。」
よく話すの?どんな子なの?
と、いろいろ質問をされたが、
全て、話したことないから分からない
と答えた。
「ごちそうさま。」
質問に疲れた鈴芽は足早に部屋に戻った。