ソプラノ

鈴芽の友達継続宣言に対して、奏夜は何も言わなかった。
そんな奏夜に向けて、

「…嫌なら、もう関わらないけど…。」

と呟いた。

「…誰も嫌だなんて言ってないだろ…。」

奏夜は少し照れながらそう答えた。

「…良かった。」

鈴芽は笑顔を浮かべながらそう言った。

「ったく、本当めんどくさいやつと関わっちまったな。
まあ、結構楽しいんだけどな。」

そう言うと、奏夜も笑顔を浮かべた。

「ねえ、その憎まれ口、どうにかならないの?」

「お前に優しくする必要なんてないだろ。」

「えー!ひどいよ!友達なのに!」

「こんな話し方で接する相手なんて、お前だけなんだぞ?つまり特別ってことだ。
嬉しいだろ?感謝しろよ。」

「じゃあ、愛情の裏返しってことだね。」

「何でそうなるんだよ!調子に乗るな!」

奏夜は鈴芽の頭を鷲掴みにすると、そのまま髪の毛をくしゃくしゃっとした。

「ちょっ!やめてよーーー!」

他に誰もいない屋上で、2人は笑いながらそんなやり取りをしていた。
< 29 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop