ソプラノ
鈴芽の友達継続宣言に対して、奏夜は何も言わなかった。
そんな奏夜に向けて、
「…嫌なら、もう関わらないけど…。」
と呟いた。
「…誰も嫌だなんて言ってないだろ…。」
奏夜は少し照れながらそう答えた。
「…良かった。」
鈴芽は笑顔を浮かべながらそう言った。
「ったく、本当めんどくさいやつと関わっちまったな。
まあ、結構楽しいんだけどな。」
そう言うと、奏夜も笑顔を浮かべた。
「ねえ、その憎まれ口、どうにかならないの?」
「お前に優しくする必要なんてないだろ。」
「えー!ひどいよ!友達なのに!」
「こんな話し方で接する相手なんて、お前だけなんだぞ?つまり特別ってことだ。
嬉しいだろ?感謝しろよ。」
「じゃあ、愛情の裏返しってことだね。」
「何でそうなるんだよ!調子に乗るな!」
奏夜は鈴芽の頭を鷲掴みにすると、そのまま髪の毛をくしゃくしゃっとした。
「ちょっ!やめてよーーー!」
他に誰もいない屋上で、2人は笑いながらそんなやり取りをしていた。