ソプラノ
第七楽章 ー恋心ー
―翌日
「おはよう!」
「鈴芽おはよ!」
「お、元気になったな。」
「うん、もう大丈夫!心配かけてごめんね?」
「鈴芽が元気になってよかった!」
そんなやり取りをしていると窓の外から“キャー”という悲鳴が聞こえた。
毎朝の行事、奏夜の取り巻きたちの声だ。
「始まったな。」
「よく毎朝飽きないよね。」
「本当にな。」
窓の傍に行き校門の方を見下ろす。
そこには先日見たのと同じたくさんの人だかりがある。
その中心にいるのはもちろん奏夜だ。
『一ノ瀬君、やっぱりかっこいいなあ。』
どれだけ人がいてもどこにいるのかすぐ分かる。
見つけると思わず見とれてしまう。
奏夜のサラサラな黒髪が朝日に照らされてキラキラして見える。
鈴芽はその光景をずっと眺めていた。