ソプラノ
『あー、資料室の掃除だなんて、ついてない。
放課後の予定潰れちゃうよー…』
項垂れながら教室に戻る。
「あっ、鈴芽戻って来たー!」
「サボった後にしては浮かない顔だな、鈴芽。」
声を掛けて来たのは友達の春野亜美と臼田このはだ。
亜美は社交的でオシャレな女の子。見た目の割には頭が良く、テストの順位は常に上位。
このははテニス部に所属しているスポーティーな女の子。1年生の中では一番うまく、未来のエースと期待されている。部活推薦で入ったため、勉強は苦手。
「亜美ちゃん、このはちゃん、実は…」
鈴芽は屋上でのことを2人に話した。
「えー!屋上で一ノ瀬奏夜に会った!?」
「しかも、桜庭にバレて一緒に罰か…」
「放課後居残りで掃除だなんて、鈴芽かわいそすぎる。てか亜美と遊ぶ時間なくなるじゃんか!」
「うぅ、ごめんね、亜美ちゃん。」
「でも一ノ瀬も一緒なんだろ?
1人じゃないだけましじゃないか?」
「まあね、でも一ノ瀬君ちゃんと来てくれるかな…」
「あー、一ノ瀬奏夜ってそういうのやらなそう。だって一ノ瀬奏夜だもん。絶対やらないな。」
「亜美、理由が意味不明だ。」
「でもさ、多分来てくれるよ、信じてみる!」
「ま、とりあえず一週間、頑張れ。」
「一ノ瀬奏夜が来なかったらこっそり亜美が手伝ってあげるからね!」
「2人ともありがとう!とりあえず、頑張るね!」