ソプラノ
~♪
「ふぅー。久々に歌ったよー。はい、次は一ノ瀬君の
番だよ!」
「チュン子、お前さ。」
「え、何?この歌好きじゃなかった!?」
「いや、歌は何でもいいんだけどさ。」
「そっか…で、何?」
「お前、キレイな声してんな。」
奏夜のいきなりの誉め言葉に鈴芽は驚いた。
「あ、歌はね、結構得意なんだ。友達からもよく誉められるの。
でも、一ノ瀬君に誉められると何か照れる。」
下を向きながら鈴芽は言った。
「ほ、ほら!一ノ瀬君歌いなよ!あ!曲の入れ方分かる!?」
「分かんねー。教えろ。」
「まず、この画面にして、ここに歌手の名前入れて…」
それから2時間ほど、歌って2人はカラオケを後にした。
「意外と楽しいもんだな、カラオケ。」
「本当?楽しかった?じゃあまた来ようよ!
あ、でも今度はちゃんと友達と来たいよね。」
「は?何で?俺ら友達だろ?」
それは、奏夜からは絶対に言われないと思っていた言葉だった。
「へへー。今日は良い日だなー。」
「何だよニヤニヤして、気持ち悪い。」
「だって今日は一ノ瀬君に名前呼んでもらって、初めて一緒に遊んで、友達になった日だもん!友達記念日だね!」
「お前調子に乗るなよ?」
「ごめんなさーい!」
「それと、俺と友達になれたこと、光栄に思え。」
「はーい。そうしときますっ!」
「じゃ、また明日な、チュン子。」
「うん、また明日!」
手を振り合ってふたりは別れた。