社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
――あっ。
ひとつの商品が目にはいり、ソレに惹かれるようにその商品が置いてある棚まで足を進める。
「ハンカチだよね…?」
英語で書かれてるから商品名はよく分からないけれど、小さな箱にはいったソレはたぶんハンカチセットだと思う。
けして派手ではなく、けれど地味でもないシックな色をしていて、これを使ってる拓斗さんの姿がすごくすごく浮かぶ。
値段はハンカチの値段と思えない価格だけど、今の私に買えない事もない。
そして私でも知ってる有名な海外のブランド品で、これなら拓斗さんが持っていても可笑しくはないはず。
「これにしよう」
うんうんとその場で頷いてから、ガラスの向こうにあるハンカチセットをとってもらうため近くにいた店員さんを呼んだ。