社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「失礼します」
ノックし社長室に入った俺の目に飛び込んできたのは、海外オークションで会長が競り落とした、某貴族が使っていたアンティークのテーブルとソファー。
そんなテーブルにお弁当を広げている会長と社長の姿。
「なんだ…」
今からまさに食べようとしていた社長が不機嫌そうに俺に視線を向ける。
「午後からある会議の書類をお持ちしました」
「それなら朝貰って目を通したが」
「訂正があったそうで」
訂正という言葉に眉間に皺を寄せる社長。
分かってる。
そうなる事は分かっていたが、それでもこれを見てもらわなければいけない。
会議をスムーズに終える為にも、万全な状態で出てもらいたいので仕方ない。