社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



それからすぐに背後に隠して、ホッとした私の耳に届いたのは、





「なら、優子がほしい。今すぐに」





色気たっぷりの声で囁かれたそんな言葉に、カァッと赤くなる私の頬。


優子がほしい。


なんて言われるのは初めてではないからこそ分かる。


その言葉が示してる事を。


拓斗さんは、今、私を求めてくれている。





「駄目か?」

「あの…」

「どうした?」





拓斗さんの掌が私の頬を包み込む。


どうした?なんて拓斗さんは狡い。


いつもいつもこういう時の拓斗さんは狡い人になってしまうんだ。





「……あげます。私を拓斗さんにあげます」





もう要らないと言うまで私自身を拓斗さんに。



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