社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「だって…」
「優子が用意したら意味がなくなるだろ?」
「私は気持ちだけで嬉しいです」
20歳のお誕生日おめでとう!と言ってくれるだけで充分。
いや、ここまで来てくれる皆の為にも料理を頑張ってお礼をしなくちゃいけないと思うのに。
「優子が動いては意味がない」
ちょっとこっち来い、と手招きされた私は拓斗さんの隣に座る。
「明日優子は何もしなくていい」
「……」
「その為の日だろ?明日は」
拓斗さんにそう言われても、簡単に分かりましたと頷く事は出来ない。
「明日お袋とお義母さんが用意をしたいと言ってくれたんだ。それなのに、ここに来てみれば準備してあったら困るんじゃないか?」