社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「ハッ、自分から撃ってなんて傑作過ぎやしねえか?ま、撃っていいと言うならそうさせてもらうさ」
もう覚悟は出来た。
ぎゅっと瞼を下ろしてその時を待つ。
今まで撃たれた事がないし、今から待ち受ける痛みはどんな痛みをともなうものなのか分からない。
けれど拓斗さんがこれ以上痛いと感じないのなら私はその痛みを喜んでいただく。
それが例え死を意味してたとしても拓斗さんが助かるなら喜んでいただけるよ。
「あのね、拓斗さん。聞いてください」
それで拓斗さんを守れるなら私はいいの。
「こんな時にごめんなさい。けど言います。言わせてください。私は拓斗さんのことを愛しています。それだけ伝えさせてください」
さっきの映画みたいに私は愛してると言ってほしいなんて拓斗さんには言わない。
だって、私が愛してるって拓斗さんに言いたいから。