社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
―――バンッ―
そんな音が聞こえたと同時に背中に鈍い痛みを感じた。
ドンっと背中に感じる痛みは今まで体験した事のある痛み。
そう、例えるなら躓いてそのまま地面にに思いっきり背中を打ち付けたような痛み。
「た、くとさん…?」
拓斗さんの無事を確認するためにうっすら目を開けた私の目に飛び込んできたのは、俯せになって倒れ込んでる拓斗さんの背中。
血だらけの、背中。
「そんな…」
銃声を聞いた時は確かに私は拓斗さんを隠すように抱き締めていた、のに私を庇うように拓斗さんが突き飛ばして、それで拓斗さんは。
「拓斗さん!どうして…、私、なんかを」
倒れ込む拓斗さんに近寄り肩をぐらぐらと揺らしてみても、耳元で大声を出しても、
拓斗さんは、拓斗さんは…
「いやあああああああああああああああああああああああああああああっ」