社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
泣き喚く私の肩が揺すられる。
誰が、揺すってるの?
「―…こ。優子!」
――あれ、拓斗さん?
なんで拓斗さんが私の肩を…、ハッとして目を開ける。
そこに広がっていた世界は今の今までいた世界とは違う。
とても親しみがあり落ち着く空間、そして、
「大丈夫か?かなり魘されてたが」
いつもと変わらない拓斗さんの姿。
「た」
「た?」
「拓斗さんなんで私をいきなり突き飛ばしたりしたんですか!私は拓斗さんを守るつもりで、だから最後に愛してるって言ったのに、なんで拓斗さんに守られているんですか!?それに私は最初から」
拓斗さんの事は私が守るって決めてたのに!と 捲し立てるように言葉も続ければ、拓斗さんはぽかんとした表情になり、けれどすぐに理解したのかクスリと笑う。
「いったい優子はどんな夢を見てたんだ?」