社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



どのくらいそうしてたんだろう?


時間を忘れるくらい拓斗さんと立ったまま、ぎゅっと抱き合い続けていると、突然、





「―…脱がしたい」





という言葉が上から聞こえてきて、ドキンと一際大きく鼓動した私の胸。





「駄目です」

「駄目なのか…?」

「今からサンタさんのお仕事をしなくちゃいけません」





そんな私の言葉に拓斗さんは、一瞬きょとんとした表情になったけれど、私の言葉の意味が理解できたのか目を細める。





「あぁ、そうだな」

「はい」

「これから毎年だな」





拓斗さんと私は、――パパとママは、クリスマス限定でサンタさんのお手伝いをしなくちゃいけない。


瞳子のプレゼントを置くという重大な任務が。



< 234 / 452 >

この作品をシェア

pagetop