社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
どのくらいそうしてたんだろう?
時間を忘れるくらい拓斗さんと立ったまま、ぎゅっと抱き合い続けていると、突然、
「―…脱がしたい」
という言葉が上から聞こえてきて、ドキンと一際大きく鼓動した私の胸。
「駄目です」
「駄目なのか…?」
「今からサンタさんのお仕事をしなくちゃいけません」
そんな私の言葉に拓斗さんは、一瞬きょとんとした表情になったけれど、私の言葉の意味が理解できたのか目を細める。
「あぁ、そうだな」
「はい」
「これから毎年だな」
拓斗さんと私は、――パパとママは、クリスマス限定でサンタさんのお手伝いをしなくちゃいけない。
瞳子のプレゼントを置くという重大な任務が。