社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「別に何も…、ただの独り言なので拓斗さんは気にしないで下さい」
「優子」
拓斗さんは私の気にしないで下さいは聞いてくれない。
でも、
「お茶淹れてきます!」
プレゼントを渡すタイミングを探ってたなんて知られたくない私は、拓斗さんから逃げるようにキッチンに行こうと思ったのに、
「きゃ…っ」
拓斗さんに腕を捕まれ、キッチンに向かってるはずだった私の身体は拓斗さんの腕の中にいて、ドサッとそのままベッドに押し倒されてしまった。
「拓斗さん…」
「なんで逃げるんだ?」
「えぁ、う、逃げるつもりは」
真っ直ぐに私を見下ろす拓斗さんはそのまま私の髪をすくい、髪先に唇を当てた。