社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



あ…っ、俺が怖いか?と言った拓斗さんの気持ちは、昨日私が言ったあの言葉が原因だという事に気付く。


‘怖いです…。拓斗さんが怖いです!’


なんて昨日私が泣きながら言ったからだ。





「拓斗さん」





泣きたくなる。


拓斗さんが顔を歪めた原因も私に触れようとした掌をグーにしたのも、絞るような声で言ったのもすべては私の所為だったという事実に。


なにが理由が分からなかった?


理由は私だったのに。





「怖くなんてありません」





私の所為で拓斗さんはこんな思いをしてるっていうのに…





「触って、ほしいです」

「……」

「拓斗さんは怖くないです。だから私は拓斗さんに触ってほしいです」



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