社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
顔を歪めたままの拓斗さんは、触ってほしいと言っても手を動かそうとはしない。
それ所か私から視線を外し、そんな拓斗さんを見ていたらパリンと何かが割れたような音を聞こえた。
「やだ…、ヤです。私を見てください」
私はとっても理不尽だよね。
昨日は怖いと言ったのに今日は怖くないと言って、拓斗さんが呆れてしまうのも当然で。
これ以上何かを言ったらもっと呆れてしまうのは分かっているのにセーブがきかない。
「拓斗さん…!」
思いのままに拓斗さんの腕に抱き着く私に気持ちのブレーキなんてものは存在しない。
「それなら私が触っちゃいます。拓斗さんが見てくれないなら、こうして私が拓斗さんをいっぱい見ちゃいます。触って見ちゃいます」