社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「お仕事で近くに寄ったとかですか?それで顔を見せに来て」
「違う。ただ、優子が」
「私が?」
優子がと言ったまま口を閉ざした拓斗さんに首を傾げながら言葉を待っていると、突然拓斗さんが私の首元に唇を這わせ、反応するかのようにピクッと身体が動く。
「ひやっ、とても擽ったいですよ…」
逃げるように身体を捩っても追い掛けてくる唇。
「お仕事戻らなくても、っ」
「最後まではしない。今は」
‘今は’に含まれる言葉を理解した時、チクリとした甘くて蕩けるような痛みが私を襲った。
なんでこんなことに?
そもそも、この時間に帰って来た理由は??
色々と考えたい事があるのに…。
そんな暇なく私は拓斗さんに翻弄されていく。