社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



「いー、うーう」





シャツを掴み今にも行かないでパパと言い出しそうな瞳子に、拓斗さんはメロメロな、でも向かう事が出来ないと困ったような顔を向けた。





「優子」

「はい、大丈夫ですよ。私が取ってきますから」

「いや、俺が取りに」

「拓斗さんが取りに行くのは瞳子が許さないと思いますよ?だめって顔してます」





私も許さないけど。


確かに瞳子のジャンパーを取ってくると言った言葉も、その気持ちも嬉しい。


だからと言って私ができる事を拓斗さんに頼みたくはないの、なんて言えば拓斗さんは怒ってしまいそうだからこういう時は瞳子‘が’をつける。


そうすれば瞳子にメロメロの拓斗さんはジャンパーを取りに行く事をやめて、ソファーに座りながら瞳子のお相手をしてくれるから。



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