社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「それで優子の成人式の場所は結局」
「拓斗さんがこっちの会場でも大丈夫なようにわざわざ手続きをしてくれたの。って前にもお父さんに説明した気が」
「そうよ。お父さん、この前会った時も優子に同じ事聞いてたじゃないの。全く」
拓斗さんと結婚した時点で私の住所はここではなく、本来ならあっちの、つまりあのマンション付近の人が行く会場になる。
けれどそれだと私の知ってる人がいない会場になると知った拓斗さんは、私の知ってる人がいる――、つまり私の通った小中校区内の、小中一緒だった人達が行く実家付近の会場に行けるように手配をしてくれた。
そんな手続きが出来るとは思っていなかったから、それを聞いた時は本当に嬉しくて拓斗さんに抱き着いてからすぐに青葉へメールをした。
一緒に成人式を行けるよ!って。