社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
小さなキッチンにお母さんと背中を並べて包丁を動かしてく。
システムキッチンなんかない昔ながらのキッチン――、キッチンよりも台所と言った方がお似合いのこの場所はお母さんで溢れてる。
お父さんじゃないけど、懐かしくて涙が出てきそう。
お母さんに気付かれたら玉葱の所為にしちゃおう!なんて思いながらそんな空間での料理を進めていった。
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「こっちがお父さんので、こっちが拓斗さんのです」
「父さんの方が小さくないか?」
テーブルに並べたグラスを見てお父さんは意義あり!と言わんばかりに私を見てきた。
「駄目。お母さんからお父さんがこの前の検査で注意されたって聞いたんだから。お酒のグラスはこれで充分」