社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
朝早く起きた私はバスローブを着ると大きな椅子に座る事になって、それから先はお姫様になった気分だった。
なんというかここまでされちゃうんだなあって、とてもあの日――、結婚式をしたあの日を思い出させる。
椅子に座っているだけで何人もの人が私をピッカピカに磨いてくれて、短時間で大人の私に仕上げていくんだもん。
頭に顔に手に足にこれ以上にないってくらい。
そして主役はやっぱり振り袖。
既婚者は着てはいけないと言われてる振り袖だけど、成人式ということもあり今日だけは振り袖を。
「拓斗さんは?」
「拓斗ならあっちに居るわ。そうよね。拓斗に早く見せたいわよね?なんて愛らしいの」
ちょっと呼んでくるわね?とお義母さんが部屋を出ていって、この部屋には私とお母さんだけになった。