社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



「まるで、なによ?」





言えるわけがない。


ううん、そんな風に聞こえたなんて口にしたくないよ。


ぎゅっと唇を閉ざしたままの私にお母さんは。





「残念でした。お母さん、欲が出来たからまだまだ逝きませーん」





私の暗い気持ちを吹き飛ばすかのように元気な大きな声でそう言った。


そんなお母さんを見ているとわざと私が変な事を思うような言い方をしたの?と思い、少しだけイラッとしたけど…





「当たり前でしょ!お母さんは瞳子の子供の結婚式まで出てもらうんだから」





お母さんが変な事を思ってない事にホッとしてイラッとしたのはすぐに忘れてしまった。





―――コンコン―





「入っても大丈夫か?」



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