社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
お母さんが部屋から出ていってからも拓斗さんも私も無言のまま見つめ合っていた。
私がどうですか?の一言を言えばいいんだろうけど、その一言が言えないのはきっと…
拓斗さん‘から’言ってほしいなと思う私の贅沢過ぎる願いできっと、どうですか?と聞いたら‘あぁ’は言ってくれるはず。
最初はどんな言葉でも欲しいと思ったのに、今はどんな言葉でも欲しいののあとに、私から聞かずにがプラスされている。
ああ、私ってなんて我が儘なんだろう。
こんな私の本心が拓斗さんに気付かれてしまったら嫌われちゃうかもしれない。
どうしようどうしようと頭の中でパニックになってると。
「優子」
拓斗さんはようやく私の名前を呼んでくれて、思わずゴクンと生唾を飲み込んだ。