社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
ただでさえ成人式後にある同窓会に出席しない私にとっては、学生の頃の顔見知りと話し合えるチャンスは今しかない。
久しぶりを言い合う程度だったとしても、相手が私の事を覚えてなかったとしても、あの人に会いたかったけど会えなかったと落ち込むにしても、それを含め成人式なような気もするし。
「じゃ、そろそろ行こっか」
「そうだね」
「あ〜マジで歩きにくい。なんで振り袖ってこんなに歩きにくいの!?」
いつもは大股で歩く青葉にとっては、小さな小幅で歩かなければイケない事がそれ以上に許せないらしい。
そんな所は昔と同じままでちょっと安心する。
「祝電とか長いのかなぁ」
「そりゃあ、そうでしょ。眠たくなったら肩貸してあげる」
「あはは。その時はよろしくね」