社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「ううーあー、あ」
「上手〜。まだ小さいのに歌が上手だなんて将来が楽しみですね!」
私は立派なバカ親さんだ。
ううん。
瞳子の歌の上手さは親の贔屓目ではなくてもかなりの上手さ。
見た目も飛び抜けて可愛いし、採点に出たら間違いなく満点の優勝。
「あれ、この曲って…」
流れている曲がかわり、聞き覚えのあるゆっくりテンポのバラードが流れはじめた。
「優子はこの曲好きなのか?」
「好きっていうか、これ演奏できるんです」
「演奏?優子が楽器をしてたなんて初耳だな」
「そうじゃなくって中学の時の文化祭で」
懐かしいなあ。
クラス一丸となって毎日毎日放課後残って猛練習したんだっけ。