社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
そんな会話をしているとあっという間に目的地に到着し、一年前利用したパーキングに車を停車させた。
去年は二人で手を繋いだ区役所近くの並木道。
今年は手を繋いでるのは拓斗さんと私だけど、拓斗さんの腕の中には瞳子がいるから3人で。
まあ、正確に言えば去年だって瞳子は私のお腹に居たけどね。
「ふふ」
「どうした?」
「去年の今頃はこーんな大きなお腹だったなあって」
そんな私の言葉に拓斗さんは頷くと、懐かしむような表情で繋ぐ手にギュッと力を込めてくれて。
そういえば…、と口を開いた。
「あの時、俺が言った事は覚えてるか?」
「あの時ですか?」
「あぁ。優子が俺に来年は3人だと言っただろ?その時、俺は4人の可能性があるって言ったんだ」