社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
あとは瞳子が好きそうなアメリカンな掌サイズのボールを。
コースターセットとボールが入った袋を持って外に出ると、瞳子が抱っこした拓斗さんが待っててくれて。
そんな拓斗さんはあの場所をジーッと眺めていた。
「陣痛の」
「あぁ。あの時の看護師には感謝しきれないな」
車を取りに行った拓斗さんを見送ってすぐに陣痛が来て、ひとりでどうしようと痛みで泣きそうになっていた時。
通りすがりの看護師さんに話しかけてもらって、拓斗さんが来るまでずっと励ましてくれてたんだ。
「いつかあの看護師さんに会いたいです。会ってちゃんとお礼を言いたいです」
「そうだな…。いつか会えるといいな」
「はい。名前や連絡先をちゃんと聞いてれば良かったですね。そうすればお礼が出来たのに」