社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



「少し寄り道しても大丈夫か?」





パーキングから出てひとつ目の信号でとまった時に、拓斗さんはそう言った。





「寄り道ですか?」

「あぁ、寄りたい所がある」

「行きます。でも一体どこなんですか?寄りたい所って」

「着いたら分かる」





寄りたい所を教えてくれなかった拓斗さん。


一体どこなんだろう?


マンションとは逆方向に進んでいく車に、私は窓から見える景色を見て考えてみたけど全く検討がつかなくて。





「住宅街…?」





あれから30分くらい経って車は大きな住宅ばかりが並ぶ住宅街へと進んでいて。


すぐそこの交差点はザワザワしていたのに、この道に入った途端静かで、閑静な住宅街という言葉がまさに当てはまる場所だと思えた。



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