社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
言葉を濁らせ私から視線を外し外方を向いた拓斗さんに、もしかしてという気持ちがうまれる。
もしかしてお餅を…?
違うかなとも思うけど、そうであってほしいという気持ちを込めて。
「拓斗さん」
拓斗さんにこれでもかとぎゅーっと抱き着いて。
「拓斗さんのお友達だからですよ。拓斗さんをもっと知りたいから会いたいんですよ」
一級建築士さんのお友達に会いたいと思った理由を素直に伝えた。
それでもダメなら。
「会いたくないかもです…。一級建築士さんに会いたくないかも」
私は会いたくないと言う。
そんな私に拓斗さんは目を見開くと、私の頭を自分の胸元に押し付けるように力強く抱き締めてくれた。