社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
その微笑みを見ると、お義母さんが言う見せたい物はソコにあるというのは歴然。
行ってきますと拓斗さんと廊下に出る。
私の実家とは違い何室もある拓斗さんの実家には客室という部屋がいくつもあるらしい。
そんな事実を知っている今でも、来るたびにこの大きな一軒家にはドキッとしてしまう。
「ここだ」
扉の前で立ち止まった拓斗さんは私が隣に来たのを確認してから扉を開けた。
「え…?」
扉の向こうにあったのはとても客室とは思えない空間。
部屋全体が白で纏められたその空間にひとつだけ黒色の物がある。
それは大きな大きな――、グランドピアノ。
「ここは客室なんですか?」
「いや、リフォームでもしたんだろ」