社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「俺が知ってるこの部屋は普通の客室だからな。こんな部屋になってたとは…。それにあのピアノは初めて見る」
「え…?」
「家にはピアノがあるが、こんなデカイやつではない。もう少し小さいやつだからな」
ハァと溜め息を吐いた拓斗さんは。
「瞳子の為に買ったんだろう」
と、私の目を見開かすような言葉を言った。
瞳子の為にグランドピアノを…、それも客室だった部屋をリフォームしてまで。
「ったく、瞳子がピアノを弾きたいと思わない事を考えないのか」
「あははは」
笑うしか出来ない。
拓斗さんの言葉に瞳子の為ではないんじゃと思ったけど、お義母さんの顔が頭に浮かんでからは、お義母さんなら買いそうだと思ってしまった。