社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
どうやら聞くと俺が撃たれた夢を見たらしい。
俺は撃たれたりしない。
だからもう怖がる必要はない。
そう言うように肩から背中に手を移動させ、瞳子を宥めるときのようにリズム良く叩く。
「もっとぎゅーっとしてください。拓斗さんって存在をもっと感じたいです」
優子が求めるなら抱き締める。
もうイラナイと言われるまで。
「もっと…」
もっと、か。
誘い文句のように聞こえるソレは、優子はただ抱き締めてほしくて言っているはずで。
あわよくばこのまま雰囲気に…と、思う俺の汚い心にも気付いてない優子はすりすりと俺の胸に頬擦りしている。
潤んでる優子の目も今になっては汚い自分自身が顕わにさせられる武器。
そんな自分自身にため息を吐き出した。
「拓斗さん大変です!」
勢いよく体勢を整えた優子は次は焦り出す。