社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
戻らなきゃいけないのに。
お義父さんとお義母さんと瞳子が拓斗さんと私が帰ってくるのを待ってるかもしれないのに、身体も脳も全て拓斗さんから離れたくないと言っている。
「拓斗さん」
名前を呼べば拓斗さんの腕に力が篭ったのが分かった。
「拓斗さん」
もう一度呼んでみると、次は頭を自身の胸元にグッと押し付けられて。
なんだか…、拓斗さんも私と同じ気持ちな気がしてきた。
強くなる腕が、頭を押した手が、もう少しこのままと言っているように感じ。
だから私も――
拓斗さんから離れないと言わんばかりに抱き着く。
「拓斗さんともっとこうしてたい。このまま拓斗さんと一つになりたいです。あっ、えっちな意味じゃないですよ?」