社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「……」
「……」
――えっ。
「……」
「……」
「たぁ、たっ、くとさん」
吃りながら振り返り、廊下に出そうとした足を戻し、踵を返して向かう先は勿論拓斗さんと瞳子のところ。
「今、瞳子がパパって」
「……言った」
「パパって」
「あぁ、瞳子が確かに」
ハッキリと耳に届いた‘パパ’は拓斗さんの耳にも届いていたようで。
二人して瞳子をジーッと見つめる。
当の瞳子はきゃっきゃと拓斗さんの腕でお遊び中。
「もう一回…、ねぇ瞳子?もう一度パパって言ってみて??」
「やー」
「もう一回聞きたいな?パパも聞きたいなーって。そうですよね?」
「あぁ、パパも聞きたい」