社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
拓斗さんと私がもう一回もう一回と繰り返すから、瞳子は観念したように。
「ぱーっ、パパ」
もう一度‘パパ’と言った。
「パパって」
「あぁ、言ったな」
「うぅ…ぅ、パパ、って」
‘ぱー’でも‘ぱぁ’でも‘ぱっ’でもない‘パパ’に涙が止まらない。
いつちゃんと言えるようになるのか楽しみにしていたそれは、親孝行な瞳子は家族が揃う休日に言ってくれた。
なんてなんてなんて瞳子は良い子なんだろうか。
「もう一回」
「やーっ」
「え〜、聞きたいな聞きたいな。もっと聞きたいな」
「やー」
可愛い可愛い瞳子の声をもっと聞いていたいのになあ。
でも、まあ、2回もパパって聞けたから満足。