社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)






「ママ、まんま」

「後で食べようね」





ベビーカーを押しながら近くのスーパーからの帰り道。


あの日から拓斗さんが瞳子にママを教え込み、そのお陰か6月になる頃にははっきりと‘ママ’と言ってくれるようになった。





「まんま!」





どうしてもまんまが食べたくて仕方がない様子の瞳子に、困ったなあと思いつつも近くに座れる所がないかと見渡し、近くに見つけたベンチへと向かう。


そのベンチに座りママバッグから瞳子の大好きなお菓子を取り出すと、貰えると思った瞳子が手を伸ばしながらニコニコと笑う。


可愛すぎ。


本当はあまり食べてほしくないんだけどおねだりにはどうしても勝てない。


勝てる時もあるけど今日はズッキューンと撃ち抜かれてしまった。



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