社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「抱っこするよ」
「え」
「保育園でなれてるから。抱っこの達人って言われるくらい」
いいのかな…?
なんて悩んでる間にも着信音は鳴り続いていて。
「少しだけお願いします」
「任せて」
瞳子を男の人に預けて、携帯を耳にあてた。
『……優子』
「出るの遅くなってごめんなさい」
『今、外か?』
なんで分かるんだろう?
ああ、車の音とか拓斗さんに聞こえたのかもしれない。
「はい。おねだりされたのでベンチで瞳子にボーロとジュースをあげたら瞳子寝ちゃって」
『一人で大丈夫か?』
「すぐ側だから平気ですよ。それに、優しい保育士さんと今一緒にいて」
『保育士は女か?』