社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「男の人ですけど」
そう言ったと同時に向こうからガタッという音がした。
拓斗さん…?
『今、どこだ』
「スーパーとマンションの間の」
『迎えに行く』
えぇっ!?
「でもお仕事中じゃ」
『関係ない。今迎えに行く』
関係ありますって!
関係あると思ったのは私だけではないようで、向こうから串田さんの声が聞こえてきた。
何やら串田さんは‘今から会議ですよ!’と言っている様子で、それでも拓斗さんは関係ないと返してる。
「拓斗さん」
『少しくらい遅らせてもいいだろ。あぁ、会議より大事だ。そんな事はどうでもいい』
私の声が聞こえてないのか拓斗さんは串田さんと会話中。