社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



『なんで串田が行くんだ。俺が行く。いや、俺が行くって言ってるだろ』

「あの〜、拓斗さん?」

『送ってすぐ帰ってくる。なんだ信じられないのか?』





‘無理ですね’と言った串田さんの声が聞こえて、拓斗さんは少し声を荒げた。


どうしよう…





「私なら大丈夫ですから。だから拓斗さんは」

『もし何かあったらどうするんだ。何かあってからじゃ取り返しがつかないだろ?串田もいつも言ってるだろ』





ああ、まだ私の声が聞こえてないみたいだ。


はぁ…と溜め息を吐いてると男の人は不思議そうな顔で私を見ていたのに気付く。





『分かった』





何が分かったんだろう。


私を仕事を抜け出してまで迎えに来てくれなくていいって分かってくれたのかな?



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