社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
確かにそうかも。
今となっては拓斗さんの秘書の串田さんという存在が当たり前になっていたけど、一般的に考えたら当たり前じゃないんだよね。
「ねえねえ、君はいったいどんな」
「やめてもらえますか?奥様とお嬢様にそれ以上近付くのは」
この声は――
「串田さん!」
前を向くと路肩に停めてある見覚えのある車から出てきたであろう串田さんがそこにはいた。
「奥様もお嬢様も無事で安心しました」
「無事に決まってますよ」
「決まってるなんて…、そう思うのは奥様だけですよ。社長がお待ちですので行きましょう」
そう言って私に手を差し出した串田さん。
「社長…?それなら君は社長夫人ってわけかな??」