社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「すみません。泣いちゃって」
「かわりましょうか?」
「大丈夫です。起きたすぐは泣いちゃう事が多いので」
いつものように瞳子が好きなリズムで身体を揺らし、優しく優しく撫でる。
そうするといつもは泣き止むのに今日は…
「ふぇえええええ」
場所が外という事の環境の違いからか、瞳子はますます泣き出す。
「一先ず車に乗って下さい」
「あっ、はい」
両手の塞がっている私を気遣ってか、串田さんは後部座席のドアを開けてくれた。
「すみません。ありがとうございます」
「いえ、ではこのまま会社に向かいます」
「会社…?」
「社長に奥様とお嬢様を社長室まで連れてくるようにと言われてますので」