社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



知らなかった。


てっきりマンションまでと思っていたのに、拓斗さんは社長室まで私を連れてくる事を串田さんに頼んだんだ。


ゆっくりと走り出した車。


車が走り出したばかりの頃は泣いていた瞳子も今はぐっすり眠っていて、そんな瞳子を見ながら私はあの言葉を思い出していた。


串田さんにアレを聞いてもいいのかな…?





「串田さん」

「なんでしょうか」

「拓斗さんが言ってた事が気になってて」





社長が言っていた事ですか?と串田さんはミラー越しで私と視線を合わせた。





「さっきの電話で拓斗さんが串田さんに条件を出されたって。だから自分は行けないんだって…、拓斗さん言ってました。その条件ってなんだろう?って気になってたんです」

「内緒にしていただけますか?」



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