社長の旦那と恋い焦がれの妻（わたし）

目の前にはベビーカーを押した串田さんがいて、その後ろを瞳子を抱く私。


車は正面ではなく地下駐車場に停めたので、そのままエレベーターで一気に社長室のある階のボタンを串田さんは押し、ウィーンと小さな音をたてながらエレベーターは上がっていく。


もうこのエレベーターに乗るのは何回目だろ？


いや、何十回目？？


ここのエレベーターにも色んな思い出をたくさん作っちゃったからなぁ…、と思い出していると。


チンッと音をたてて扉が開いた。


すごい…


一回も他の階に止まらずこの階まで来ちゃうなんてある意味すごいよね！？なんて心の中で思っていた事が串田さんにはバレバレだったらしく。





「止まらなかったのは直通にしたからですよ」





そうサラッと言われてしまった。