社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



「はい」

『……クスッ』





今笑ったよね…?


思わずハイって答えてしまった私に遠藤さんはクスッって。





「……」

『……』

「……」

『貴女は拓斗くんの奥さん?』





少しの沈黙の後、遠藤さんはそう聞いてきた。





「そうです」

『一度声を聞いてみたいと思ってたから嬉しくって』

「え…?」

『だって会わせてって言っても拓斗くんは会わせてくれなかったもの。拓斗くんを独り占めするってどんな気持ち?』





なんでそんな事を遠藤さんは私に聞いてくるの?


それになんで拓斗さんをくん付けで!?


受話器を握る手に力がこもる。





『近々会いましょうね?拓斗くんがいない時にでも。じゃあね』



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