社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)






いつもは広々としたキッチンも、いつもより狭く感じるのは隣に拓斗さんが立っているから。


それでもまだこのキッチンにはまだまだ人が入って調理できるスペースはあるけれど、今日は二人だけ。


このキッチンを利用できるのは。


――そう、今日は念願の拓斗さんと一緒に料理をする日。



「こんな感じでいいのか?」



軽く手を洗って、こねこねと拓斗さんが捏ねた生地に手を伸ばす。


うん、いい感じ。



「拓斗さんすっごく上手です!それで次はこういう風に、小さくちぎって麺棒で伸ばしていったり、こんな風に麺棒で伸ばしてから分割していったり。拓斗さんのやりやすい方で」



拓斗さんは作るのは初めてだと言っていたけれど、とても初めてだとは思えないほど上手なコネ具合。


正直言って私よりも何倍も。


いつも思っているけれど、拓斗さんに欠点ってないみたい。



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