社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
今まで私は幾度となく別々に寝ることを提案してきて、その回数と同じくらい拓斗さんからは今と同じ返事が返ってきてる。
その気持ちは嬉しいけれどお仕事と身体を考えると心配。
私は瞳子の夜泣きで寝られなくても、昼間に瞳子が寝てる間に一緒にお昼寝出来たりできるけれど、拓斗さんの場合はそんな事を言ってられない。
お昼寝タイムなんてない拓斗さん。
「ずっと瞳子を抱いてると腕が疲れるだろ?かわる」
そう言って私の腕から瞳子を抱き上げた拓斗さんは、優しい声で瞳子の名前を呼び、瞳子が眠たくなるようにリズムよくポンポンとゆらゆらを繰り返す。
ああ、瞳子をあやす拓斗さんはなんて素敵なんだろう。
その姿はまさに芸術品のようでいつまでも眺めていたい気分になると、同時にこんな事思うべきではないんだろうけれど、そんな姿を見ているとどうしても思ってしまう事がある。