社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
「……本音を言うと陣痛の時にもう二度と妊娠したくないって思ったんです。こんなに痛みもう二度とイヤだって。だって想像以上に痛くて」
「あぁ」
「それによく言うじゃないですか?陣痛は辛くても赤ちゃんが産まれたらまた出産したくなるって。でもそんな言葉が信じられないくらい陣痛中はとてつもなく痛くて、苦しくて…。なんで女の人だけ陣痛の痛みを耐えなくちゃいけないんだろう?耐えずにパパになれる男の人が狡いと思いました。妊娠はひとりじゃ出来ないのに、どうして男の人は痛みを知らなくていいんだろうって。お腹が大きくなるのも女の人だけなんだろうって」
でも――
「ビックリするくらいに吹っ飛んじゃいました。瞳子の産声を聞いた時にそれは本当だったんだなって思えました。瞳子の顔を見た時に、拓斗さんの顔を見た時に、体験ができる女として産まれてきて良かったって思えたんです」