社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)
今でも思い出せる。
瞳子の産声を聞いた瞬間のあの鳥肌も、拓斗さんの涙も、あの時の経験した事を私は忘れる事は絶対にない。
「そりゃあ、瞳子のお世話するのはとっても大変で泣かれるとすごく困っちゃいます。拓斗さんと過ごす時間も減っちゃったし、手抜き料理も増えちゃったし。お掃除だってピッカピカに出来なかったり、拓斗さんには内緒にしてますけどかなり手を抜いて掃除したりしてるよです。ごめんなさい。そんな風に主婦として悲しくなる日もいっぱいです」
瞳子が誕生しても家事は手を抜かないと誓ったのに、実際は手を抜いてばかり。
時間がなくて出来なかったは言い訳に過ぎない。
「いっぱいいっぱい思う事はあります。けどそんな状況でも私はまだ拓斗さんとの赤ちゃんが出来たらいいなって思うんです。そんなの無責任ですよね…。主婦として熟せない部分があるのにそう思うのって」