あの日、ぼくらは
「キャー優斗くぅ~ん」
「優斗くん。二人でどっか行かない?」
「何言ってるの!優斗くんはあたしのよ!」
「ねぇねぇ、カラオケ行こーよ」
「いや、私と食事に行きましょ」
10分後あたしたちは1年A組――優斗のクラスにいる。
けど、さっきみたいに女子の皆さんに囲まれてる。
今回はあたしもいるのに。
あたしのことはおかまいなしに。
何か言ってくれないかな、優斗…。
「そういえばこの子誰?」
まるで今気付いたかのように女の一人が言う。
最初から気付いてるくせに…。