海の城 空の扉
アルフレッド卿の後に続いて、長い石の螺旋階段を上った。
その先は塔の屋上だ。
ラドリーンの城同様、そこは胸ほどの高さの壁に囲まれた広い場所だった。壁のところどころに四角くくり抜かれた部分があって、覗き窓のようになっている。
いつも城内を歩き回っていたラドリーンにとっては軽い運動だったが、しばらくして追いついた<侍女>は息も絶え絶えだった。<侍女>の後ろから、なぜかリナムを抱いた騎士、マスタフもついて来ていた。こちらは汗一つかいていない。
「ご覧なさい」
アルフレッド卿は壁の彼方、港町を囲む城壁の向こうに広がる景色を指差した。
夕闇が迫るさなかであっても、外の世界に疎いラドリーンであっても、その光景の異様さは分かった。
地平線まで続く剥き出しの、石ころだらけの土、土、土――一面の荒れ地だ。
畑も牧草地もなければ、森もない。ところどころに低い潅木の茂みがあるだけだ。
「この国の三分の二はこのような土地だ」
アルフレッド卿はため息混じりに言った。
「城壁に囲まれた、領主のいる土地や寺院、それと王都だけがかろうじて人の住む土地として機能している」
「わたしの国はここではないのかも……おぼろげですが、兄と牧場(まきば)で遊んだ記憶があります」
ラドリーンがそう言うと、アルフレッド卿はゆっくりと首を横に振った。
その先は塔の屋上だ。
ラドリーンの城同様、そこは胸ほどの高さの壁に囲まれた広い場所だった。壁のところどころに四角くくり抜かれた部分があって、覗き窓のようになっている。
いつも城内を歩き回っていたラドリーンにとっては軽い運動だったが、しばらくして追いついた<侍女>は息も絶え絶えだった。<侍女>の後ろから、なぜかリナムを抱いた騎士、マスタフもついて来ていた。こちらは汗一つかいていない。
「ご覧なさい」
アルフレッド卿は壁の彼方、港町を囲む城壁の向こうに広がる景色を指差した。
夕闇が迫るさなかであっても、外の世界に疎いラドリーンであっても、その光景の異様さは分かった。
地平線まで続く剥き出しの、石ころだらけの土、土、土――一面の荒れ地だ。
畑も牧草地もなければ、森もない。ところどころに低い潅木の茂みがあるだけだ。
「この国の三分の二はこのような土地だ」
アルフレッド卿はため息混じりに言った。
「城壁に囲まれた、領主のいる土地や寺院、それと王都だけがかろうじて人の住む土地として機能している」
「わたしの国はここではないのかも……おぼろげですが、兄と牧場(まきば)で遊んだ記憶があります」
ラドリーンがそう言うと、アルフレッド卿はゆっくりと首を横に振った。